そのランドセルは本当に子供の為ですか?

牛革と人工皮革
知っておいた方がいい素材の話

近年工房系というジャンルで牛革やコードバンのランドセルが売れに売れまくっています。
やはり天然皮革というだけで「良いもの」という固定観念が生まれますよね。

まずはさらっと素材の要点をまとめます。

人工皮革とは、天然皮革を人工的に再現した化学繊維です。
さらに、ランドセル用に
防水・耐傷・軽量化
に優れたクラリーノやコードレやベルエースなどがあります。
それぞれの人工皮革メーカーは、質感や高度、重さなどが微妙に異なっており、
最も流通量が多いのがクラリーノです。
クラリーノは金額も高く、新規参入企業には卸さないので、新しめのメーカーはコードレやベルエースを使用しています。
どれが最も優れているとかはありません。
例えるなら液晶テレビ。
アクオスやレグザ、ブラビアなど、それぞれ甲乙つけがたいものです。

天然皮革は、ランドセル用でいえば牛革とコードバンがあります。
(時々ブタ革もありますが、ほとんど内張りに使用されます。)

コードバンは革の宝石と呼ばれるくらい、表面がツルツルでしっとりした高級素材です。
科学繊維のようにきめ細かいですが、ランドセル用は防水処理がされているものがほとんどです。
馬のお尻の革で、裏側を使います。
1枚1万円を超え、ランドセルのフタ2枚分で無くなるほど小さいものです。
人工皮革なら1万円分でフタ10枚くらいは取れる?かな。
ただし、コードバンは傷がつきやすいので、確実にフタ2枚取れるとも限りません。

 

牛革はそのまま牛の革です。
ブランド財布や靴、鞄など様々な商品に使用されるポピュラーな素材です。
しかし、基本的にはそれらの牛革とランドセルの牛革は別物です。
牛革はもちろん天然なので、虫刺されや血液のにじみなど、独特の汚れや傷があります。
ランドセルにそういった風合いは好まれないので、ランドセル用は防水処理も兼ねてフィルムで覆います。
それでも完全に傷や汚れを防げるわけではないので、熟練の職人が目で見てパーツに切り出していきます。

牛革好きでもランドセルは違う

上でも説明したように、牛革の財布などを長年使用し、風合いや質感の虜になったとしても
ランドセルではそのようなことにはなりません。

一部ヌメ革など、革そのものを染めて染色したランドセルもありますが、基本的にはフィルムです。

牛革のランドセルを触って
「やっぱり本革は手触りが良い」
と感じたら、もう固定観念です。

この画像は友人に撮影してもらった
ランドセル用の牛革です。

実は手で触っているのはフィルムなんです。
人工皮革を触るのと変わらないということです。

何度も言いますが、これはランドセル用の牛革です。
ランドセル以外の牛革はこのようなフィルム加工はされていません。

流行りに流されて重いランドセルが人気

人工皮革の重さは牛革の約半分です。
熟練の職人が作ったランドセルだろうと、素材そのものの重さは変わりません。

「一生に一度の買い物だから、子供にも良いものを」

ほんとうにそれ、牛革で良いのですか?
人工皮革は完全防水で、しかも軽くて傷もつきにくいものです。

・紫外線などによる経年劣化でヒビ割れすることもありません。
・メンテナンス不要です。汚れたら水拭きすれば十分です。
・雨カバーは教材が濡れないようにする為のものです。
・人工皮革は車のボディーのように、汚れても拭けば綺麗になります。

牛革やコードバンは、6年間一切何もメンテナンスしなかったらほぼ確実にボロボロになります。
そこに風合いはありません。
表面のフィルムがボロボロになるのですから。

子供にそんな素材のもの必要ですか?

素材と技術を勘違いしないこと!

工房系で名高い「土屋鞄」
業界内で評判の工場「榮進」
開発力抜群の工場「セイバン」
幅広いデザイン企画にも対応できる「ハシモト」

ランドセルを作っているところは特有の色があり、技術があります。

“本当に良いもの”

とは、ランドセルに使われる素材ではなく、工場の職人がもつ技術です。

 

今回は、あまりにも牛革が美化され過ぎているランドセル業界にメスを入れました。

ランドセル選びで素材を重視するのだけは失敗のもとです。
絶対にオススメしません。

今回はすこし尖った内容でしたが、主役であるはずの子供が
近年親の見栄やステータスで脇役になってきているので、ここは強く主張させていただきました。

 

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