2020年度ランドセル商戦は激化していない?
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2020年4月入学向け記事
今年のラン活の業界動向は?
近年ランドセル商戦はお盆辺りがピークだったのが6月⇒5月と早まり、年中活動まで行うご家庭まで出てきました。
そうなれば
2020年度のラン活は4月がピークで、4月中に一生懸命ラン活しないと好きなランドセルが買えなくなってしまうのでは・・・
私もそう考えていました。
それに、実際4月には多くのメーカーがカタログの発送を行っており、業界人も大変だな~と思っていました。
しかし、いざ蓋を開けてみると、少し予想外な方向に進んでいます。
この記事を書いているのは5月下旬ですが、2020年度のラン活はどうなっているか考察していきます。
あれ?なかなか完売しない?
一時期大人気の工房系ランドセルでは、ホームページのサーバーダウンすら引き起こすほど工房系は人気でした。
今年はどうでしょう・・・
もう5月が終わるというのに選択肢がものすごく多いことに驚いています。
もっとも、すでにこの感覚が実は一般人とはかけ離れた、業界人が陥る失敗なのかもしれません。
それについては次の章で考察します。
今年は土屋鞄など工房系を代表するメーカーが、本数による完売ではなく期間による完売にシフトチェンジしました。
※期間販売は今年からではありませんが。
そのおかげか、完売完売と騒ぐ割に意外とゆっくり選べるようになりました。
でもこれは、お客様にゆっくり選ぶ時間を作ってほしいというメーカー側の優しさではなく、一本でも多く受注を受けたいということだと思います。
おそらくこれが業界の犯した大失策なのではないかと思っています。
業界人が陥る大失策とは
本題に入る前に、少し私の話をします。
私もそれなりに業界人として毎年色々考え、あらゆる情報を探り、いかに来期は今期の受注数を上回るかを考えてきました。
そこで、よく耳にするのが
「毎年同じ商品を売ってもダメ」
「今年とは違ったアプローチで攻めないと伸びない」
「新しい機能やデザインを作らないと売上が落ちる」
こんな感じの会話をよく耳にしました。
しかし、これには疑問を感じていました。
ランドセルはリピートする商品ではなく、ほとんどが初めて買う一見客用商品です。
ということはつまり
デザインは今年のデザイン
機能や評判は去年の口コミ
ということになります。
すると、来期に向けて新しい機能を作ったとしても、それが話題となり売上が伸びる可能性が出るのは再来年ということになると思うのです。
すごく簡単な話かもしれませんが、私の場合はこの考えは異端的な扱いで、尚且つ来年の売上を伸ばせない言い訳として捉えられていたと思います。
私の話は以上です。
では、実際に現在業界に起こっていることはなんでしょうか。
それは
思ったより激化しないランドセル商戦です。
私が思うに、これは業界人だからこそやってしまった戦略ミスだと思います。
確かに工房系人気で各メーカーが必死になり、本来流通量も性能も適切とは言えない天然皮革を多くのメーカーがラインナップに加えました。
加えるというより新商品としてですかね。
まさに時代を逆行しているという話は置いておきます。
その甲斐あってか、多くの人が人工皮革か天然皮革か悩めるくらい市場はラインナップに恵まれました。
もはや老舗工房以外にも牛革ランドセルを販売するところが増えました。
しかし、ついに工房系人気の大前提を忘れてしまいました。
それは
完売する
ということです。
ランドセルに関わらず、完売するということは人気を示す指標であり、他社比較や購入意思決定におけるプロセスを大幅に削り、購入検討者を逃さない手段でもあります。
ただ、企業にとってはかなり諸刃の剣です。
もっと多くの受注を取れたかもしれないのに、あえて受注を止めてしまうのですから。
しかし、こういったリスクを回避すべく、一定の期間内は完売しないという手段が蔓延しました。
これはおそらく、今後数年ほど影響する失策ではないかと思います。
例えば
1000本で完売していたところ、キャパを増やして2000本にしてまた完売
⇒
またキャパを増やして5000本にして完売しない状態を作ったところ1000本余る
⇒
すると人気がなくなったと思われ、次は1500本余る
⇒
こうして少しずつ減少していき、採算が取りにくくなり値上げする
⇒
さらに余る
こんな最悪なシナリオになってしまうのではないかと考えています。
なぜなら、ランドセル業界ではなく子育て世代の環境が変わってきていることも影響していると思うからです。
高すぎるランドセル
工房系が人気とはいえ、やはりその価格帯はネックになっています。
数年前からランドセル格差という言葉が出ていますが、もはや格差というよりもっと冷ややかな状況です。
私の友人にもランドセル購入の世代がいますが、ランドセルに対して冷めまくっています。
というか、冷めた友人しか周りにいません。
「ラン活頑張ってます」なんていう友人が一人もいないのは不自然な感じがしましたが、案外これが大多数なのではないかと感じています。
iPhoneも高価格帯になって販売数を大幅に落としました。
ランドセルももはや安いとかコスパがいいなんて思う人はほとんど居ないと思います。
ほとんどの人が高いと言います。
また、この高騰したランドセル価格の火付け役は間違いなく工房系です。
高価な工房系ランドセルの価格に市場が合わせてしまったのです。
そうすると、探し方に変化が起こり始めます。
安いと不安だけど、高すぎるものは無理
という、ランドセルそのものとは違った所に意識が向いていきます。
ここで安くて高性能でデザインも良い商品がヒットしたら大変な時代が来ます。
また
業界人時代に私は不思議に感じていたと思います。
気にしてはいませんでしたが・・・
販売本数はほとんど変わらないor増えているのに、客足が想像より全然少ない印象があります。
何が言いたいかというと
ランドセル選びが面倒だと思う人が増えているorラン活者が減っている
ということです。
それと
ネットで調べられる情報が数年前と比べて膨大になっている
ということです。
メーカーを絞るのも、価格帯を決めるのも、デザインを決めるのも
大体が店舗へ出向くことなく完結します。
そういった冷めた世代が店舗へ行くのは、それすら面倒な場合や単に実物の確認です。
それも、ゆっくり自分のペースで。
無いものは追わず諦める
欲しかったものが完売していたらすぐに他の商品を検討でき、後悔しない
こんな感じな気がします。
とはいえ、前提として
・何を選べば良いかわからない程の種類や機能の煩雑さ
・手軽に決められるような価格帯から逸脱して高額商品化させた
全てはランドセル業界の自業自得ではありますが。
2020年度は焦らないでも良さそう
一部人気商品は完売していますが、選択肢が多すぎる分焦ることなくゆっくり選べるようになったと感じています。
それは、あくまでも業界からの優しさではなく、上記で説明した兆候だと感じています。
つまり、今年はラン活するならとても良い年だと思います。
完売を恐れて、急いで買った後にアレコレ後悔する激戦年ではなく、納得のいくものをしっかり検討して購入できる年です。
メーカーも機能のデザインもブランドも多すぎるランドセル市場からの恩恵だと思って、ぜひ子どもと一緒に楽しいラン活を!
無駄にだらだらと長くなりましたが、これからもkazumamaをよろしくお願いいたします。
(各メーカーの更新が遅れまくっていて申し訳ございません。。)
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